“春・夏・秋・冬 いつだって上高地は素晴らしい”と 人はいう せっかく“信州”に生まれながら “上高地”に足を踏み入れたことが なかった僕に 「上高地へ行きましょう!!」と 誘いがあった 露天風呂に二度同行してくれた ネットの友人スーさんからである |
2006年10月18日(水) 晴 金さん&和さんはスーさん夫妻と一緒に紅葉の上高地を散策してきました。 金さん&和さんは埼玉県から、スーさん夫妻は愛知県からなので、前日の17日は岐阜県の平湯温泉にある平湯館に泊まり、朝食をすませてからタクシーで上高地に向かいました。 (上高地はマイカー規制のためバスかタクシーでしか行けません。平湯駐車場または沢渡駐車場でシャトルバスまたはタクシーに乗りかえるのです。) 平湯館まで迎えに来てくれたタクシーに4人で乗り上高地に向かいます。(上高地までバスで行くのと料金もそんなに変わりません。高齢者や車椅子を利用する人はタクシーを利用されることをお勧めします。)大正池ホテルでタクシーを止めました。 “るるぶ”の「上高地06〜07」ウォ-キングMAPに、 「大正池バス停・・・小径を下りるすぐ大正池の畔に出る。」と載っていましたが、心配なのは、その小径が車椅子で下りられるか?どうかです。タクシーの運転手さんは「ここから車椅子で行った人は聞いたことがない」と言っていました。 金さんは、もし無理なら車椅子で楽に行けそうな田代橋と河童橋の間を周遊しようか?と考えていましたが、和さんとスーさん、運転手さんの3人が念のために小径を下りて下見してくれました。 「この石段を下りられても、その先の岩や石ころだらけのところを車椅子で行けるかどうか?」と、運転手さんは心配していたそうです。 でも、和さんとスーさんが「行ってみよう」と言ってくれたので、金さんと奥さんもタクシーを降りました。 小径の坂は不揃いの土石の段が何段もあるところからはじまっています。 先ず最初に、車椅子が安全に土石の段を下りるため、金さんの乗った車椅子の向き反対にしてもらいました。大車輪(駆動輪)が前に、キャスター(前輪)が後ろ(バック)にです。車椅子で急な坂を下りるときには、この方が乗っていて楽ですし安全なのです。それから、和さんとスーさんが左右で車椅子を支え、スーさんの奥さんが車椅子のフットレストを持って、後ろ向きの車椅子を大車輪から一段ずつゆっくりと時間をかけて下ろしました。 途中で金さんの左足が緊張したのか?伸びきって曲がらなくなり、フットプレート(足台)から何度も落ちてしまったので、奥さんにその都度フットプレートに戻してもらいました。(10月なのでうっかりしていましたが、冬寒くなると車椅子のフットプレート(足台)から左足が曲がらなくなって落ちてしまうことがよくありました。) 大正池ホテルの下の平らなところを少し進むと、紅葉と青い空、立ち枯れた木、大正池と穂高連峰、中でも焼岳が眼前に見えて実に見事でした。 にわかカメラマンでしょうか?大勢の人が思い思いの撮影スポットでカメラを構えています。金さんは車椅子なので大正池の側まで行くのはあきらめて、増水時のう回路になっているところで大正池と穂高連峰の眺望をゆっくりと楽しみました。 少し休憩して出発です。千丈沢の土石と砂礫が続いています。 その時左足はフットプレート(足台)から落ちないように、ハンカチとタオルで車椅子に結わえてもらっていたのでだいぶ楽になりました。ただ、平坦でないので、首がむち打ち状態になりました。今回はうっかりして持って行かなかったのですが、寒い時期や緊張すると左足がいつもフットプレート(足台)から落ちるので、次回からはその対策を考えて持ち物を用意したいと思います。 土石と砂礫が多い所は後ろ向きにしたままの車椅子の両側を、和さんとスーさんに引いてもらいました。 比較的平坦で車椅子を押しやすい所は前向きで和さんに車椅子を押してもらいました。 「車椅子で上高地散策」と書くとのんびりと散策したようですが、実情は三人で車椅子を押したり引っ張ったり、金さんは揺れるたびに首がむち打ち状態のようになるところもありました。 林間コースと梓川コースに分かれているところからは梓川コースを選択しました。このコースは眺めも良く車椅子でも比較的楽に通行できました。湧き水が流れるところに架かる小さい橋では、和さんとスーさんで金さんを乗せたまま車椅子の大車輪を持ち上げてくれました。ゆっくりだったので、途中で大勢の人に追い抜かれましたが、時々「お手伝いしましょうか?」と声をかけてくれる人がいたので嬉しかったです。 田代橋を渡りほぼコースの半分です。 ここから河童橋までは平坦なので車椅子を後ろ向きにして進むコースはもう無いようです。 上高地旅行の前から楽しみにしていた「上高地清水屋ホテル」が目前でした。 ホテルのラウンジはスロープがついているので車椅子でも楽に利用できます。 ラウンジで楽しみにしていた フランボワーズムースとコーヒーをいただきました。 コーヒータイムの後はトイレ休憩です。 上高地清水屋ホテルの一階で障害者用のトイレが見つからないと和さんがいうので、金さんはウェストン園地にある車椅子も利用できるトイレに寄りました。 車椅子での上高地の散策には、金さんが利用したウェストン園地のトイレ(写真→)や上高地バスターミナルにあるトイレなど車椅子でも利用できるトイレがあるので便利です。 今回の金さんの上高地旅行のために、和さんが介護用の紙パンツを用意してくれました。はじめての上高地で、車椅子で利用できるトイレがあるかどうか不安だったからです。介護用の紙パンツを使用してみて、思わぬ効用があることがわかりました。それは介護用の紙パンツをはいていると安心感があるのか?トイレに行くまでの時間がいつもよりも長くなるのです。そのため幸いなことに今度の上高地旅行では紙パンツを濡らさずに済みました。 しかし、車椅子生活をしていてドライブ旅行や、ミニドライブなど外出の機会が増えると、介護用の紙パンツなどの利用は欠かせなくなるでしょう。金さんはそんな体験記も書けたらいいなあ!と思います。 とうとう上高地で一番の人気スポット河童橋に到着です。 今度の旅行で、金さんも大正池と河童橋は絶対見てこようと思っていました。 幸い紅葉の盛りの時期なのに人混みも思ったほどではありませんでした。 金さんが車椅子で写真を撮せたくらいです。 心配していたスロープも、河童橋の両サイドに完備していました。 おかげでスロープを使ってゆっくり河童橋を渡ることができたのは実に幸運だったと思います。(写真→河童橋左岸のスロープ) 河童橋でお昼少し前です。大正池ホテルの側を九時前に出発したので、健康な人が約一時間かかるコースを、三倍の約三時間で散策したことになります。 河童橋の左岸に五千尺ホテルがあります。 少し先には上高地の石碑がありました。金さん&和さん、スーさん夫妻の四人は、お昼をどこで食べるか?相談の結果、タクシーで平湯に下りてから食事にしようということになりました。バスターミナルにも、車椅子で利用できるトイレが完備しています。全員トイレに寄ってからタクシー乗り場へ向かいました。 時間がまだ早いためか?タクシーも、バスも、乗る人は少ないようです。平湯駐車場または沢渡駐車場行きのシャトルバスは満員になるまで発車しないシステムになっているようです。 天気も良いこの日の上高地は、観光客が多いようです。 道が狭いのと観光バスの駐車場が狭いためでしょうか? 上ってくるバスと下りていくバスの交互通行の規制中でした。 携帯電話を持った係員が連絡を取りながら交通整理をしていました。 遠くから団体客を乗せて来る観光バスに挟まれて、 平湯と沢渡からのシャトルバスも動けません。 この日延々と続くバスの列は、バスターミナルから出て行くバスがないと駐車場に入れないので、係員の合図を待っているのです。 タクシーの運転手さんが教えてくれたのですが、いまタクシーから見える所に止まって駐車場の空くのを待っているバスの列は、多いときには釜トンネルの入り口までつながるのだそうです。そのため、上ってくるバスのお客さんは途中で下りて、河童橋や大正池への観光コースを歩くのだそうです。 タクシーが平湯に下りて行くときに見ると、この日も釜トンネルの入り口まで続いていました。 平湯におりてからお昼を食べることにした4人の判断は正解だったようです。 規制のために出発が十分ほど遅れたタクシーも動き出してからはスムーズに走り三十分程で平湯に着きました。 これもタクシーの運転手さんが話してくれましたが、マイカー規制をする前には、女性の観光客にトイレで困る人が多かったのだそうです。男性はいざとなれば渋滞した車を降りて道の側でもできますが、女性はそうはいきません。結果として、マイカー規制が女性を救うことにもなったのかもしれませんね。 金さんは、上高地や乗鞍のような行楽地には必要な規制だと思います。
※ 上高地のマイカー規制
上高地公式Website ↑ 参照
上高地のマップ(地図) 2枚のマップ(地図)は上高地公式Websiteよりお借りしました。 |
熟年夫婦の田園生活 | 車椅子の視線から |