奈良井宿を訪ねて

 

一日目(10月7日木) 晴

○ いざ木曽・伊那の旅へ

今年の夏は異常気象と言われるくらいむちゃくちゃに暑かった。
一日の最高気温が30℃以上になる真夏日の記録が9月下旬に観測開始以降の最多記録となっただけでなく、一日の最高気温が35℃以上になる猛暑日も30日を超えた所が多かった。
そんな気候もあって6月から9月まで、金さん&和さんは旅行に出かける元気もなかったくらいである。
長い夏が過ぎて、お墓参りを兼ねての信州旅行にようやく腰を上げたときにはお彼岸も過ぎて10月の第二週に入っていた。
今年秋の旅行先には、広い信濃路のうち金さん&和さんが共にまだ二人で旅行に行ったことのない木曽路と伊那路を選んだ。
先ず木曽の奈良井宿を見て、この地方のバリアフリーの宿で一泊してから、金さんの故郷北信濃の信州新町にある甥のログハウスにもう一泊する計画である。
車椅子の生活をする金さんが楽しく泊まれるのは公共の宿やかんぽの宿などであるが、長野県にあるかんぽの宿は、「かんぽの宿 諏訪」だけである。そこで、今回は木曽・伊那地方の公共の宿からインターネットで探した。検索で見つかったのが、上伊那郡箕輪町の「みのわ温泉 ながた荘」である。ながた荘のホームページを見ると、ハンデキャップ対応の「6畳+ベッドルームでトイレ付き」の部屋があるという。しかも、大風呂の他に露天風呂や貸し切り風呂など5つの風呂があり、肌がツルツルになる美人美肌の湯と評判も高い。」という。
金さん&和さんで相談して、10月7日(木)の「6畳+ベッドルームでトイレ付きのハンデキャップ対応ルーム」を予約した。

○ 今回も運転は和さん

出発は10月7日(木)朝7時半頃である。家では田んぼの稲刈りも終わっているのでこの日の天気のように気持ちも晴れている。
出かけるとき一緒ではなかったが、息子も明日8日(金)に休日になるので、信州新町にある金さんの両親たちが眠る墓地にお参りをして、自動車で日帰りするという。
そこで、南信の箕輪町のみのわ温泉から北上する金さん&和さんは、信州新町の道の駅で息子と合流することにした。
携帯電話があるのでこういうときの連絡には便利である。

今年の3月に、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の埼玉県の川島IC(インターチェンジ)から桶川北本ICまでが開通した。
これで埼玉県北東部にある加須市から山梨県や長野県の木曽・伊那方面へ行く時に、東京の混雑した道路を通らなくて済む。
今回、全線開通はしていないが、試しに桶川北本ICから圏央道を乗って見ることにした。
しかし、残念ながらまだまだ問題は多い。朝7時半頃に家を出て桶川北本ICまでは約一時間かかった。
平日の出勤時間帯なのだから無理もないだろう。ただ、平成24年にも桶川北本ICから東北自動車道の久喜白岡JCT(仮称)まで開通すれば、東北自動車道と中央自動車道が高速道路でつながり、もっとスムーズに行けるようになるだろう。楽しみである。

圏央道の狭山PA(パーキングエリア)で最初のトイレ休憩をした。その後八王子ジャンクションで中央自動車道に合流したが、ここで事故による渋滞に巻き込まれ約一時間ほどストップした。高速道路で渋滞に巻き込まれれると、前進もバックもできない。

二回目のトイレ休憩は山梨県の初狩PAでとった。ここは駐車場があまり広くないが、車椅子用駐車スペースの目の前に車椅子用のトイレがあるので便利である。
高速道路3回目のトイレ休憩は中央自動車道から長野自動車道に入ってから塩尻ICの手前にあるみどり湖PAで取った。

車椅子で奈良井宿へ



圏央道、中央自動車道、長野自動車道と走ってきた高速道路を塩尻ICで降りて一般道の国道19号に出て南進して奈良井宿を目指した。
長野県の国道を走っていて目についたのが、りんごやぶどうなど果物園である。
今、収穫時期の果物園が多いように思えた。気候がこれらの果物に適しているようだ。
国道19号は、愛知県名古屋市から長野県長野市を結ぶ国道である。
(主な経由地:愛知県春日井市、岐阜県多治見市、中津川市、長野県木曽郡木曽町、塩尻市、松本市、安曇野市)
金さんの故郷長野県信州新町は今年一月に長野市に編入されて廃止されたが、国道19号が通っている。
奈良井宿に着いたのは午後一時半頃である。
木曽の大橋は車椅子では渡れないため、写真だけ写してからさらに南進し権兵衛橋を渡ったところにある駐車場に自動車を停める。
ここの駐車料金は500円だった。

奈良井宿は、中山道の木曽にある十一宿のうち北から二番目の、難所と言われた鳥居峠を控えた宿場町である。
中山道は東海道とともに江戸から京都を結ぶ重要な街道であった。
この街道は、江戸日本橋から武蔵国(埼玉県)上野国(群馬県)信濃国(長野県)美濃国(岐阜県)を通り、近江国(滋賀県)草津で東海道と合して、京都に至る六十九次、約132里である。信濃国の木曽を通るため木曽街道ともよばれたという。
その六十九の宿場のうち、木曽路十一宿の江戸側から二番目が奈良井宿で十一宿の中では最も標高が高かったらしい。ここは難所の鳥居峠を控え、多くの旅人で栄えた宿場町は「奈良井千軒」といわれたという。
街並みは、江戸寄りから下町、中町、上町に分かれ、中町と上町の間に鍵の手がある。また、水場は、山側に6ヶ所ある。

奈良井駅から歩いてすぐの「ふる里」で、金さん&和さんは店主手作りの五平餅(二本¥480)(ご飯をかために炊いて、半殺し(ご飯を多少粒が残る程度につぶす)にして棒につけてある。)とざる蕎麦(¥750)をいただいた。思ったより量が多く食べ過ぎたようだ。店主のおばあさんが、近くにある水場から水を運んでいた。

奈良井宿は、江戸時代から曲げ物、櫛、漆器などの木工業が盛んで、旅の土産物として人気があったという。
現在も、漆器店や木工芸店が多い。他に、土産店の他、食事処として、そば処・五平餅・おやき・喫茶などの街並みが保存されている。
和さんが「お隣との仕切りはどうなっているんだろう?」と首をかしげていた。

なお、奈良井宿は昭和53年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている。ここの建物の特徴として、二階を少しせり出した出梁(だしばり)造り、が上げられている。普通に見ても軒の出が深いように感じられた。
当時の町並みが保存されている上町から下町まで約一キロの街並みを、車椅子でゆっくりと散策した。
平成19年に「美しい日本の風土百選」にも選ばれているという街並みは、山の多い木曽の街道で質素に、しかし、力強く生きている信州人の暮らしぶりが垣間見られてとても良かった。

奈良井宿を見たので、妻籠宿と馬籠宿も次の機会に見てみたいものである。


-奈良井宿で-
   
木曽の大橋  上町で  資料館-中村邸 
     
 水場 中町   中町
     
喫茶-田中  観光案内の人  観光案内の人と 
     
水場  下町  下町-ふる里 (食事処)
 
日野薬草本舗  東海旅客鉄道(JR東海)奈良井駅  地元のお年寄り 

※ 奈良井宿観光協会のホームページ:http://www.naraijuku.com/


みのわ温泉 ながた荘→ 

熟年夫婦の田園生活 車椅子の視線から