車椅子で馬籠宿・妻籠宿散策

 


1 馬籠宿散策 2011年10月20日(木) 晴


 宿である恵那峡の「かんぽの宿 恵那」のを出発したのは午前8時半過ぎである。国道19号線に出てゆっくり北上、「かんぽの宿 恵那」でもらった「木曽・馬籠・妻籠周辺MAP」の通り、木曽の山の中を走る旧中山道に出て9時半頃に馬籠宿に着いた。 初めての所なのでどこに車を駐車したら良いか迷った。問題はどこに車を駐車して、車椅子でどのように散策するのが楽か?である。
 今度の旅行の前にインターネットや情報誌などで調べたところでは、「馬籠宿は急坂を散策することになる」と出ていた。にもかかわらず、「宿場の案内図は馬籠宿の観光案内所でもらうことにしよう」と金さん&和さんで決めていたのが問題だった。観光案内所は坂道の宿場の途中にある。仕方がないので、「坂道は上りよりも下りが楽だろう」と、坂上に車を移動させ、バス停留場の少し先にあるB4の駐車場に車を停めた。ここに駐車している自動車は他には一台もいない。
 そこから案内板のある上の入り口の所まで戻り、石畳の坂道を下りて行くことにした。なお、トイレは上の入り口の近くと下の入り口の近く、途中の観光案内所の近くにある。
(左上の写真 B4の駐車場)
(右上の写真 上の入り口から続く石畳の坂道)
 上の入り口の所で、観光バスのガイドさんが、何やらマイクで説明している。後で知ったところによると、観光バスは上の入り口の所で乗客とガイドを降ろして、バスを下の入り口に近い駐車場に回して待っているらしい。

 馬籠宿は中山道43番目の宿場で木曽路11宿の中では最南端に位置している。
昔は宿場町として栄えた所である。
 全長600mあるという石畳の坂道に沿って、両側に続く家並みが宿場時代の面影を残している。きっとその昔は、宿屋や茶店が、この宿場を行き交う多くの旅人で賑わったことだろう。
 残念なことに、明治28年の大火事により江戸時代からの建物はおおかた焼けてしまったらしいが、この町の人達の努力で当時を忍ばせる町並みを復元させたと言うところが凄い。




                                  
 この宿場は、文豪島崎藤村の生まれ故郷としても知られている。
 あの「夜明け前」の舞台にもなった宿場町でもある。
 当たり前のことだが、宿場町はどこの宿場町もバリアフリーの町ではない。馬籠宿の石畳の通りは見栄えは良くても車椅子では通りにくい。
 お店や資料館なども段差があって車椅子では入れないところが普通である。だから、金さんはこういう場所では車椅子で建物の中に入ろうとは思わない。街並みをゆっくりのぞきながらそこで暮らしたであろうイニシエの住人たちの臭いを少しでも嗅ぎ取ろうとつとめるだけで満足である。

(左上の写真は馬籠宿本陣資料館)
(右上の写真は馬籠郵便局)
(右の写真は藤村記念館)

2011年10月20日(木)馬籠宿も紅葉にはまだ早いようだ。


 事前にインターネットや情報誌などで調べていたが車椅子での情報は少なく車椅子での情報はない。
 金さん&和さんが、「馬籠宿は急坂を散策することになる」と出ていたので、上の入り口の所から下りて行ったのは正解だった。町並みは舗装されていたが石畳の舗装である。車椅子だとガタンゴトンと揺れが身体に伝わるのでやや疲れる。車椅子のフットプレートに乗せている足がずれてフットプレートから落ちることもある。和さんに用意していたバンドで足を落ちないように固定してもらう。 所々の平らな石畳のところに行くと安心する。
(左上の写真は 手焼きおぜんべいのお店)
(右上の写真は お土産の民芸品を見る観光客)


 車椅子で石畳の坂道を下りられるか?少し心配だったが、金さんが利用している「ヤマハの電動車椅子」は電源を入れると大丈夫だった。前もって速度を2に切り替えてあるのでエンジンブレーキが効いている。
 スピードは遅く、ゆっくりゆっくりなので安心である。
 電動車椅子の取り扱い説明書に「急な坂道は利用に適さない」と書いてあるが、馬籠宿はそれに該当するような坂道ではない。
 電動車椅子はエンジンブレーキが効くので遅い速度だと下りやすいのだと思う。
 もしかすると、自走の車椅子だと、金さん一人では下りられないような気がする。

(左の写真は 石畳の坂道で金さん&和さん)

 和さんが坂道の途中にある観光案内所に寄って宿場の案内図をもらい話しを聞いてきた。
 「ここから下の方が賑やかでお店なども多い。車を上の駐車場に停めてきたのなら下の駐車場に回して置く方が楽ですよ。」と教えてくれたらしい。
 この坂道を全部下りてからもう一度車を取りに上るのも大変である。そこで相談して、和さんだけB4の駐車場に車を取りに戻って下の駐車場に回し、和さんが下の入り口から上ってきて、上からゆっくり下りて行く金さんと出会うことにした。
 和さんによると、上に一人で戻って車を下の駐車場に回したのは、年齢的にも疲れたけれど正解らしい。普段ワンちゃん達の散歩や太極拳の練習で鍛えているのでできたのだろう。
 「もう一度車椅子の金さんと一緒に上の駐車場に戻るのはもっと大変だったに違いない」と言っていた。



(左上の写真は坂道が急な馬籠)
(右上の写真は下の入り口と案内板)

和さんが車を取りに駐車場に戻っている間に、石畳の下り坂を金さんが電動車椅子で少し一人で下りて行ったとき何人かに声をかけられた。
「だいじょうぶですか、お手伝いしましょうか?」と、言う親切な声かけである。
「ありがとうございます。だいじょうぶです。」
と、ゆっくり下りながら金さんは答えたが内心嬉しかった。
「旅は道ずれ、世は情け」だと つくづく思った。

   
 石畳  山口誓子の句碑  大黒屋茶房
     
  せんべいや   
     
 清水屋資料館  うさぎや  いずはら



 さて、次は妻籠宿だ。


※ 木曽馬籠宿 -馬籠観光協会:http://kiso-magome.com/
 



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