穂高荘 山のホテル

A露天風呂



新穂高温泉 -穂高荘 山のホテル-
 山峡槍の湯(混浴)-

(露天風呂の画像は山のホテル-のホームページからお借りしました)

       2006年5月23日 雨

為せば成る 為さねば成らぬ何事も

 車椅子生活の金さん山のホテルの露天風呂に挑戦


(画像には、24日の朝晴れたので、和さんがデジカメで撮ってきたものも含まれています。)

 スロープカーは車椅子の金さんが乗ると
 スーさん夫妻と和さんの4人で満員になった。
 思ったより スピードは早く
 一分もかからないで下に到着した。
 しかし、そこから更に階段である。
 4段ずつ8段であろうか?
右手で手すりの代わりになる雨で濡れている鉄柱に掴まり、
左手は和さんの手に掴まってゆっくり歩いて下りる。

階段を半分下りると残り4段である。
雨は相変わらず降っている。
顔を上げて、下りる先をみると
女性のお客さんが数人心配そうに見ていた。
「済みません 遅くて!」と和さんがお詫びを言うと
「いいんですよ。気をつけてゆっくりどうぞ!」と女性のお客さんが答えてくれた。
4段を一歩一歩気をつけて下りると、金さんの左足が寒さと緊張で少し震えている。
スーさんと奥さんが、先に下りて下で車椅子を用意してくれていた。
それに、どっかりと座りこんだ。

傘をさしながら待ってくれていた女性のお客さんたちが
一斉に目で拍手をしているように感じた。

そこから先の板張りの道は車椅子に乗った金さんを、和さんが押して露天風呂に向かう。



板張りの道の向こうは、材木の土留めの間に小石をビッシリ敷き詰めた坂道になっていた。
 車椅子では下りられないので、
 スーさんがおんぶしてくれることになった。

 おんぶといっても金さんは60キロある。
 低い姿勢からだとかなり重い。
 スーさんが、用意してきた3段の脚立の前に
 中腰で立ち、金さんが脚立越しにスーさんの
 肩につかまって脚立の2段目に右足を乗せる。
 左足は自分では乗せることができないので
 スーさんの奥さんに手伝ってもらう。
 この姿勢からだと、案外楽におんぶが出来る
 とスーさんがいう。

スーさんにおんぶされて坂道を下りている時に金さんの左足に震えがきた。
普段どこかに足がぶつかった時に起きる現象と同じである。
小刻みに震える左足がだらんとなっておんぶするスーさんの身体に触れる。
スーさんも気がついて「大丈夫ですか?」と質問する。
和さんと奥さんが車椅子と脚立を持って続く。
金さんとスーさんが、男性用更衣室に、和さんと奥さんが女性用更衣室に入る。
少し待っていると、ホテルで借りた湯浴みを着た和さんと奥さんが、女性用更衣室からやってきた。
男性用更衣室に二、三人いたお客さんが「何がはじまるのだろう?」と怪訝な顔で見ている。
混浴露天風呂には和さんに手を引いてもらいゆっくり入った。
「左側は高くてまたぐのが大変だから、そこのもっと先へ行ったほうがいい!」と
更衣室いた男性が顔を出して親切に教えてくれた。

正面に見えるはずの槍ヶ岳も、蒲田川の清流も、奥に行けないのと雨とで金さんには見えなかったが
和さんとスーさん夫妻には蒲田川が見えたという。

露天風呂でゆっくり暖まると金さんの身体に精気が戻ってきた。
「満足、満足!」と心の中でつぶやいた。

帰りは、スーさんにおんぶするのが行きよりも旨くできた。
ホテルのフロントに戻って「露天風呂に入ってきました」と和さんが言うと
「それは良かったですねえ!」とスタッフも喜んでくれた。

15分程部屋で休憩して和食処“鈴屋”に行って川魚と飛騨牛の会席膳を堪能した。
飛騨牛はやわらかく美味しかった。


昨日露天風呂に行ったときは、雨の夕暮れで良くわからなかったが、次の日、和さんが撮ってくれたデジカメを見ると、こんなに緑がきれいなところをスロープカーは通ったらしい!








− 感想 −

穂高荘 山のホテルはバリアフリーのホテルではない。
しかし、障害者にやさしいホテルである。建物がバリアフリーになっていないところはスタッフのサービスで補ってくれる。金さん&和さんは、車椅子で上れない館内の階段をいつの間にかスロープで上れるようにしてくれたのに正直驚き感謝した。
残念だったのは、フロントの前のラウンジが階段だけでスロープがなく、コーヒー好きの金さんが利用できなかったことである。
階段が二カ所にあるのだから、どちらかに車椅子が通れるスロープを併設してもらえるとありがたいと思った。
お土産売り場にも行ってみたかったが、こちらも階段に阻まれて車椅子では行けなかったのは残念だった。
ともあれ、車椅子の障害者にやさしいし、料理も美味しいホテルなのでまた利用したいと思う。

奥飛騨温泉の露天風呂でも、スーさんご夫妻に大変お世話になりました。お二人のご協力がなかったら金さんの露天風呂入りは実現しなかったでしょう。
スーさん、奥さん ありがとうございました。

                    金さん&和さん


館内 



  帰路 



熟年夫婦の田園生活 車椅子の視線から