１　七年ぶりの同級会（戸倉上山田温泉）

２０１０年３月７日（日曜日）に長野県千曲市の上山田温泉で七年ぶりに金さんの中学時代の同級会が開かれた。
金さんが卒業した中学校は長野駅から二十キロほど西にある山村で更級郡牧郷村（現在は長野市に合併している。）の牧郷中学校と言った。
当時の中学校は東と西の二クラスに分かれていて、人数は合わせて１００人を少し欠ける数だったと記憶している。
いま、中学の同級生は、地元長野県だけでなく関東地方や東海地方などいろいろなところに散らばっている。
そのため、集まるのに上山田温泉が都合が良いので、このところ三回ばかり上山田温泉で同級会が開かれていた。
金さんは案内をもらったときから七年ぶりとなると久しぶりのの同級会なので、今回は何人くらい出席するか楽しみにしていた。
この日家を出るとき小雨だった天気が、上信越自動車道の碓氷軽井沢IC辺りになる頃には雪に変わった。
冬用のタイヤを履いていたが、二人とも退職して家にいるので運転する和さんも雪道の運転は何年もしていない。
今は無理をして雪の中を出かける必要がないからである。（写真左碓氷軽井沢IC辺り）
いつもよりゆっくり運転したが、宿の信州戸倉上山田温泉「梅むら旅館うぐいす亭」には午後三時少し前に着いた。
旅館のロビーに同級生で女性のKさんが一人で待っていた。
「早く行ってるって言っていたのに肝心の幹事さんがまだ来ていないのよ！」と言った。
しばらく雑談していると、一人二人と同級生が集まってきた。
午後６時からの開始にはまだ時間がたっぷりある。宿のおねえさんにベッドのある部屋へ案内された。
和風の旅館であるが、車椅子の生活をしている金さん用に幹事がベッドの部屋を用意してくれていたのでホッとした。
宴会に備えて金さんはしばらくベッドで横になり、和さんだけが婦人用の大浴場に行って来た。
６時から同級生が２３人と和さんが出席して同級会が始まった。もう一人遅れてくると言う。
予想していたより人数は少し少なかったが、まあ、こんなものかも知れない。
最初にみんなが酔わないうちに記念に集合写真を撮った。
続いて直ぐに宴会が始まった。幹事の計らいで、ひとり一人の近況の発表は止めにした。
料理を食べながらお隣さん同士の話しで盛り上がるうちに、席を離れて回る人も増えてきた。
そのうちにカラオケが始まった。年が年だけに演歌それも懐メロが多い。
男性も女性も次々に歌ったが皆場慣れしていてうまいのに驚いた。
言語障害（構音障害）がある金さんは遠慮したが、代わりに和さんがN君と懐メロ･デュエット曲を歌ってくれた。
盛り上がった宴会が8時半に打ち上げとなり幹事部屋で二次会をやるという。
金さん＆和さんは二次会は遠慮して部屋へ引き上げた。
次の同級会は七十歳のときやろうという声が出ていた。

金さんが卒業した牧郷中学校のあった更級郡牧郷村は
村の最南端に聖高原があり、最北端を犀川が流れている長い斜面のような山麓の土地であり平地のあまりない山村だった。
そのわずかな平地の狭い敷地に二階建ての校舎が建っていて一階を小学校が使い二階を中学校が使っていた。
小学校は、本校の他に３つの分校があり入学式や卒業式、運動会などは本校で一緒にしていたが、授業はそれぞれのところで行われていた。
そして、中学になるとはじめて全員一緒になったのである。
ところが、1956年に市町村合併があり、牧郷村が上水内郡信州新町と更級郡大岡村に分割編入されて牧郷村が無くなってしまった。
さらに、2005年に更級郡大岡村が長野市に編入され、それから五年後の2010年には、上水内郡信州新町が長野市に編入されている。
今では大岡村と信州新町が共に長野市になった。そして、あのなつかしい牧郷中学校の校舎も、ずっと以前に無くなっている。
故郷の名称が県庁所在地の長野市になったが、金さんの故郷がある土地は今も山の多い山麓の地であることに変わりがない。
長野市になっても、故郷では少子高齢化が一段と進み耕作放棄地も増えて、人口も戸数も減少しているのはさびしいことである。